『家庭教師〜Lesson1・その男、思春期につき〜』
「…悪いが、まだ帰って来てないようだ…。」
溜め息交じりで、男はかごめに詫びを言う。
センスのいいスーツをさらりと着こなし、一つ一つの動作にソツがない。
見た目は若いがこの男、これでもゼミの教授なのである。
その男・殺生丸から弟の家庭教師をと頼まれたのはつい先日の事。
かごめは最初、断ってみたものの、どうしてもと頼み込まれ、しぶしぶ承諾したのだった。
「…すまんな、日暮。ヤツは以前、男の家教ともめてな…。」
今日が家庭教師としての最初の日である。
緊張気味に教授の家へ訪れたかごめは、当人の不在に拍子抜けしていた。
「先に、ヤツの部屋に行って待っててくれるか。」
そう言われ、通された部屋は、思春期の少年の部屋らしく、雑多なものが転がっていた。
「…ヤツはあまり家にはいない。今日もまたケンカでもしてるんだろう。まったく…。
…じゃ、悪いが、これからゼミなんだ。後は、頼んだ。」
「…はぁ…。」
…気のない返事をして、かごめは机の上に乱雑に置かれた教科書を手に取った。
「…わ…キレイな教科書…開いた形跡がない…。こりゃ、大変そうだわ…。」
かごめは、脱力しながら、今後の学習方針に思いをめぐらせていた。
ガチャットントントン…
ドアを開けて、階段を上がってくる音にハッとする。
…チャッ…
「…あ?…アンタが家教…?」
開口一番、ジロリと睨みつけられる。
「…はじめまして。日暮といいます。犬夜叉君ね、よろしく。」
かごめはニコリと笑い、挨拶した。
(…教授がケンカとか言うから、どんな不良学生かと思ったら…ただのやんちゃ君なのね)
かごめは落ち着きを取り戻し、紹介もそこそこに、早速授業に入ろうとした。
「エト…今学校ではどの辺習ってるのかな。」
「………」
…シカトされようが、引き受けた以上、仕事をするまで…。
かごめはかまわず教科書を開く。
…と、自分の胸に無造作に置かれた手に気付く。
「…ちょっ!?何すん…っっ」
驚きのあまり、声が上ずった。
「…手をどけなさいっ私は、勉強教えに来たのよっ!」
その手は、目の前に座る少年のもので、かごめの剣幕などお構いなしに胸を弄る。
「…こ…の…っっ」
平手打ちしようと振り上げた手を、軽々と掴み取られ、かごめは目を見開いた。
「…なあ、勉強より、もっと楽しい事しよーぜ…。教えてよ、センセー…。」
少年の目は怪しい光を帯びていた。
…な…に…この子……
その不思議な瞳に魅入られたように、かごめは、動けなくなった…。
■管理人コメント■
またまた鉛筆画のザツ挿絵なんぞ付けてます…^^;
今度の犬君は学生です。
小生意気…ってゆうか、大人を手玉にとるような
ワルイ子を目指してみました。
…そして、この話も某様宅裏SSで、エロく引き継いでいただいてますv
犬が、すごくワルイです…v嬉しいv
小説置き場に戻る
TOPへ戻る