『木漏れ日』
さわさわと揺れる緑の葉の間から、眩しい木漏れ日が犬夜叉とかごめを照
らしている
膝枕をされる気恥ずかしさにきゅっと瞑っていた飴色の瞳を開くと、そこ
には光と影のコントラストに彩られた、かごめの穏やかな笑顔があった
綺麗だな...
俺は、この笑顔が見たかったんだ
かごめの、この優しい笑顔が見たかったんだ...
ふたりそっと繋いだ手を犬夜叉がきゅっと握ると、かごめもきゅっと握り
返してくれる
かごめの笑顔のほかに、犬夜叉の欲しがるもうひとつのものを飴色の瞳の
中にみつけたかごめは、うっすらと頬を染めながら犬夜叉の口唇にそっと
それを落とした
五月の爽やかな風が、ふたりの澄んだ心のなかを穏やかに吹き抜けてゆ
く...
空はどこまでも、高く青く澄んでいた