やっと最後の患者の診察が終わり、かごめはホッと一息ついた。
この病院へ配属され、そろそろ三ヶ月が過ぎようとしていた。
来てすぐの頃、いろいろと失敗をしてしまい、落ち込んでる時に話しかけてきてくれたのがこの病院の院長の息子、犬夜叉だった。
「…もう根をあげたのか?根性ねーな」
それからも、何かにつけ、かごめに憎まれ口をたたく彼に、最初はあまりいい印象を持てなかった。
…何度か続くうちに、ぶっきらぼうな言い方ではあるが、それが彼なりの優しさなのだと気付く頃には、なぜか気になる存在となっていた。
その、犬夜叉が今日の夜勤の当番なのである。
かごめは時計をみつめ、勤務時間がとっくにすぎているのに帰れないこの状況に戸惑っていた。
この時期、流行の病のせいで、急患は増えるし、看護婦も不足している。
今も、帰ろうかとしていた時に駆け込んできた患者のため、また仕事へと戻されたところだった。
…自分が帰ったら、きっと彼は困るだろう…もう少し、様子をみるべきか…
かごめが考えあぐねていると、カルテを書いていた犬夜叉が急にこちらを向いた。
「…悪かったな、引き止めて。でも、助かった。」
普段人前では見せる事のない、優しい笑顔と物言いにかごめの鼓動が少し早くなる。
「…あの…私、もう少し居ましょうか?先生のお役に立つなら…」
思わず言ってしまって顔が赤くなる。
…その時、犬夜叉の目が怪しく光った。
「…役に…か…。そんなら実験台になってくんねーか?…さっきの患者な感染症だったろ?
おれはワクチン打ってるから罹んねーけど、おめぇはどうなるか…。
即効で感染するウィルスが、おめぇの体内でどう増殖してんのか、興味あるぜ」
「…せ…先生!?」
「さ…脱げよ。…役に立ってくれんだろ?」
ガタッ後ずさりするかごめの背に薬品棚の冷たい感触が伝う。
一歩、また一歩と、ゆっくりと追い詰めるように犬夜叉が近づいてくる。
真意を確かめようと、犬夜叉の瞳をみつめると、その不思議な色に吸い込まれるように
身動きができなくなった。
すべてがまるで、夢の中の出来事のようで、今言われた言葉さえ、どこか他人事のような
気さえしてくる。
「…それとも、予防注射しとくか…?もう、遅ぇけどな…」
冷たく笑い、犬夜叉はネクタイに手をかけた。
…その顔に、さっきまでの優しい笑顔は、なかった。
〜管理人のコメント〜
この妄想文は、日記に書いていたのものです。
普段、文章を書く事を苦手としていますので、おかしな点は
多々ありますが、突然浮かんだ話を、書いてみたかったのです。
…絵までつけて…(笑)。
…どんなウィルスか、と、いろいろ突込みが入り
それは犬医師の冗談だったと、続編まで書いたのですが
面白味がなくなってしまったので、こちらにはアップしません^^
途中切れのこのお話を、某様が某所で引き継いでくださってますv
かなり悪そうな犬医師に萌えぇ…v
…苦情は、ご勘弁くださいね。