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うららかな春のとある日、かごめが“お弁当”を持って戦国に来た。
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「あー?何でわざわざ花を見に行かないと駄目なんだよ・・・」
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「もう・・・たまにはいいじゃない。折角のお天気だし、桜、満開なんだよ?」
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ね、お願い・・・とちょっと首を傾げて頼むかごめに、何故か目を奪われた犬夜叉は
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それを隠すように顔をそらせると、ぶっきらぼうに言った。
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かごめは荷をゴソゴソすると、風呂敷で包んだ箱を出した。
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「犬夜叉と食べようと思って・・・お弁当作ってきたの。」
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すたすたと歩き始めたかごめに追いつくと犬夜叉はその横を歩き始めた。
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花びらを追うように走るかごめを犬夜叉は目を細めて眺めていた。
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「やっぱりお花見は現代じゃなくて、戦国に限るなーって思ったの。」
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「わざわざここで見なくてもおまえの国でも咲いているじゃないか。」
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「おれにはここの桜もおまえの国の桜も一緒に見えるぜ。」
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弁当を広げていたかごめの手はいつの間にか止まってしまい、
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「ただ、あんたと一緒に桜を見たかっただけなのにっ・・・」
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「どうしてそんな風に言うの?もう、あんたなんて大嫌いっ!」
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その手を払い犬夜叉へ向かって言霊を言うと、かごめは走り去った。
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桜吹雪の中で、残ったのはひっくり返ったお弁当の残骸と、犬夜叉。
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ふんっとお弁当の残骸から目を逸らすと、犬夜叉もまたこの場所を後にした。
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――――ただ・・・犬夜叉と一緒に桜を見たかっただけなのに
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かごめはそのまま骨喰いの井戸に飛び込むと、現代へ帰った。
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ついさっきまであったウキウキした気分は冷水を掛けられたように濡れそぼって
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(やっぱりアイツは私のことなんて、なんとも思ってないんだ・・・・)
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もしかしたら、犬夜叉から想われているかもしれない・・・と
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少しだけ思ってしまった自分が恥ずかしく、悲しかった。
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犬夜叉がいないことにはかごめは戦国で欠片を探すことができない。
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いつから、犬夜叉を意識するようになっていたんだろう。
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――――ったく、かごめのやつ・・・さっさと戻ってきやがれっ
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この地にはもう既にかごめの匂いは残っていなかったのだ。
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かごめの国の桜とここの桜が綺麗だの綺麗じゃないだの・・・
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桜なんてゆっくり見ることもできないのかもしれない。
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かごめが走り去って、犬夜叉の足はいつの間にか井戸の近くまで来てしまった。
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信じられないなら、最初から信じなかったらいい・・・・
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でも、嫌いって言うのは・・・嫌いじゃなかったってこと?
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おかしい・・・いつも、妙な浮遊感と共にかごめの国に着くはず。
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でも、井戸に流れる空気はいつもと同じく戦国(ここ)。
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かごめの国の井戸は、祠の中にあるため空は祠の天井。
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話したいことだって、連れて行ってやりたい場所だって
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心が千切れるのではないかというくらいの悲しさを感じて、
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がばっと身体が起き上がったことで、犬夜叉は目を開いた。
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目覚めた犬夜叉の目の前にひらひらと飛ぶ小さな紋白蝶
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はっと気づくと、かごめを羽交い絞めしている犬夜叉の腕。
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――――これって・・・抱きしめられてたんじゃ・・・・
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犬夜叉はかごめを横に抱えると、そのまま窓から飛び降り祠の井戸へ向かう。
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抱えられて下から見る犬夜叉の横顔には何の感情も見えない。
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犬夜叉はさっきかごめがお弁当を広げた場所へ戻った。
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ピクニックシートの上でひっくり返ったご飯類も何故か箱の中へ収まれ、
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ぐちゃぐちゃではあるが、食べられないわけではなさそうだ。
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「その・・・すまなかったな・・折角作ってくれたのに・・」
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優しくする術を知らないこの男(ひと)を、私は好きになったんだから。
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その時、きっと二人の間に切れない絆が生まれる・・・・私はそう思いたい。
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涙の跡に張り付いた花弁を犬夜叉はそっと摘むとかごめに渡した。
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掌に乗った薄桃の花弁はまた風が攫って飛んで行ってしまった。
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果てることない花弁の旅もいつか終わることがあるのだろうか。
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飛んでいく花びらを目で追っていたかごめの頬にそっと添えられた温かい手。
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.............Dear みらち...............
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その間にオフ会だとか、イベントだとか色々あって・・・・今に至る(笑)
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リクエストに沿った内容とは、全く思えないのですが(汗)
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こんなものしか書けませんでしたが、お受け取りくださいませ。
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■みらのコメント■
るっちんありがとうございました!! 1年って早いものですね…。今までいろいろありました…。
私からのリクは…
●犬夜叉と喧嘩して、実家に帰るかごちゃん。 ●井戸が閉じて、戦国に戻れなくなったかごちゃん。犬夜叉も井戸を通れない。 ●募る二人の想い。BGM♪ヒロミ・ゴウ ●どーにかして井戸開通。やっと会えた二人。 ●もうどんな事があっても放さないと心に誓う犬夜叉(微妙にエロく)。 ●最後は限りなく甘く。
…なんか、すごく独りよがりなリクですみません…><;
ちゃんとリク入ってますv夢オチでよかったです^^ 甘いですよ〜。音楽は冗談です…^^; 犬君とかごちゃん、何気ない瞬間を大事にしてお互いの想いを育んでいって欲しい… そんな私の願いも汲んでいただき、しかも、大好きな桜のイメージv すごく嬉しいです。 風に飛ばされた花弁を目で追うかごちゃんの、頬に添えられた温かい手… 美しい情景が目に浮かびますvv
お忙しい中、本当にありがとうございました!! これからも、よろしくお願いします。
『瑠璃の天』様へは、リンク集からどうぞ。
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