『犬体育教師』


キ〜ンコ〜ン…
四時限目の終わりを告げるチャイムが体育館に鳴り響く。

「よし、集合ーー!」

よく通る声で号令をかけたのは、この女子高の体育教師・犬夜叉である。
大学出たてで、まだ若く、どこか少年らしさを残す顔立ちは、女生徒達にも人気が高い。
言い寄ってくる女生徒も後を絶たず。…しかし、彼にはそんな事、どうでもいいようで
必要以上に、生徒と接する事はなかった。

「…今日の当番は…日暮か。ボール、体育館倉庫に片付けとけよー。」
「…はーい。」
ふいに名前を呼ばれ、かごめは少々、面食らっていた。

…実は、彼女も、他の生徒同様、犬夜叉に淡い想いを寄せている一人なのである。
今も、その目の前の均整のとれた体に見惚れていたのである。

「手伝おっか?」
友達が声をかける。
でも、その友達はいつも購買でパンを購入している。
急がないと、彼女の好きなやきそばパンが売り切れてしまう。
かごめは申し出を断り、一人、暗い体育館倉庫へボールを運ぶ。
独特のカビ臭さが鼻をつく。

「終わったかー。」

しばらくして、犬夜叉が背後の入り口から入ってきた。
「はい…先生…。」

薄暗い体育館倉庫に、今自分とこの犬夜叉しかいないのだと思うと、かごめの鼓動は速くなる。
だんだんと、顔も赤らんでくるのが自分でもわかる。

それを見て犬夜叉は、ふっと笑った。
…が、かごめからは逆光で、表情がよく見えない。

「…腹、減ったな…。」

犬夜叉が後ろ手で倉庫のドアを静かに閉める。
…ガチャ…
硬質な響きで、鍵を閉められた事に初めて気づき、かごめは不安を覚えた。

「…せん…せ…い…?」
この行動の意味がわからず、かごめは犬夜叉を見つめる。
…入り口が閉じられ、尚薄暗い倉庫内では変わらず、表情を読み取ることはできない。

「…柔らかそーだ…」

笑いの混じったその声に、かごめは我が耳を疑った。

一歩、一歩、近づいてくる犬夜叉に、後ずさりするが、もう後はない。
かごめの足が、膝の高さまで積まれたマットにあたる。

「…おあつらえむきだな…。」
低い声と同時に、犬夜叉はかごめの肩を押す。

まるで、スローモーションのように、かごめは背後に倒れ、覆い被さってきた重みに
視界は遮られた…。



  ■管理人コメント■

今回のお話は、お友達からいただいたリクを元に
妄想日記に書いていたものです。
『体育館倉庫』『マット』などもリクv
必須アイテムですよね。楽しかったです。

この続きは…ないです^^
先、どうなるかは、もう決まってますし…。


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