弟三話「祭りの開幕」

 

「皆っよく来てくれたね!」

かごめと鋼牙の上から聞きなれた声が聞こえた。

「菖蒲、お前が今年は選ばれたんだなっ」鋼牙が上に向かって大きな声で言った

「うん、・・・・あっかごめ!早く鋼牙から降りてよ!!」

菖蒲がライバル心むき出しで言った

「菖蒲ちゃん・・やっぱり菖蒲ちゃんだ!」

かごめは驚いたように言った

「どうでも良いから降りて」

苦笑いで菖蒲が言った

「鋼牙くん、もう良いでしょ?おろして。」

「・・・」黙ったまま鋼牙はかごめをおろすと

「菖蒲、ちゃんとつくってくれたか?」

鋼牙が聞いた

「もっちろん!今から持ってくるよ」

「ねぇ、珊瑚ちゃん達は?」

「あいつらまだ着いてねぇのかよ?」

鋼牙は飽きれたように言った

『そりゃ〜あんな速く走っちゃね〜;』かごめは心の中でそう思った

「それにしてもすごい人ね〜」

「一年に一度の行事だからな!」

「ふ〜ん・・・あっねぇ、あの門は?」

かごめが指差した先に大きな門があった

「あれか?先祖の供養してるところだ・・。」

「・・」

「奈落にやられたヤツラもな・・」

「・・ごめんね、鋼牙くん。」

「いや、そ・・そんなつもりじゃ・・・」

鋼牙が慌てて言った

「ちょっと二人でいちゃいちゃしないでよ〜忘れてない?」

「あっ菖蒲、持ってきてくれたのか!」

「うん。」

ちょっと怒ったように言ったがすぐにニコっと笑ってみせた

「それは?」かごめが菖蒲に聞いた

菖蒲が腕に抱えて持ってきたものが気になったのだろう

「衣装だよ」

「衣装?へぇ〜菖蒲ちゃんそれ来てお祭りするの?」

「あたしはもう来てるよ!」

「それはかごめ達の衣装だぜ」

鋼牙が横から言った

「え・・ええ!?」

「妖狼族の祭りなんだから、当たり前だろ?」

菖蒲が当然のように言った

「せっかく造ったんだ、ちゃんと着てよね!」

「うん・・。」

かごめはとりあえず頷いて(うなづいて)みせた

「あっ珊瑚ちゃん!!」

珊瑚達がやっと到着したようだ

「はぁ、やっとついた・・・。」

「ミィ〜〜」

雲母は疲れたようすで鳴いた

七宝もずっとしがみ付いていたので疲れたようだ

「やっと来たね!!」

菖蒲はそういいながら珊瑚たちのところへ行くと衣装を差し出した

「え?」

珊瑚は不思議そうに菖蒲を見つめた

「何?」

「衣装」

「着るの・・?私達が・・?」

「そうよ!!」

妖狼族の衣装だった。しかもきちんと人数分用意されていたのだ

「あたしの自信作!」

菖蒲は自信満万で言った

「法師さま・・」

「なんです?」

「これ、法師様の」

「え??これを着ろと?」

弥勒も珊瑚と同じような反応を見せた

「七宝にもこれ!」

珊瑚が渡すと

「お、おお!おらの分もあるのか♪」

とっても喜んでみせた

「雲母にはこれみたい・・」

雲母には首輪が用意されていた

「ねぇ、犬夜叉が居ないじゃない」

菖蒲が見渡して言った

一行は残った一着の衣装をみていっせいに

『犬夜叉にも着せるつもりだったんだ〜』

『犬夜叉の分まであったとは・・・』

『ミィ〜〜〜』

と思った

「犬夜叉は今日は来ないの、今ごろすねて昼寝でもしてるわよ」

かごめがちょっと怒った様子でいった

「さぁ、早く着替えて!」

菖蒲が一行を小屋へ案内した

 

その頃の犬夜叉―――

「けっ・・・つまんねぇな・・」

 

 

 

 

弟四話「弥勒のおさげ」

 

かごめと珊瑚は妖狼族の衣装を腕にさげながら話していた

「気持ちは嬉しいんだけどね〜」

珊瑚がかごめに問い掛けてみた…

「そうね・・・」

かごめも珊瑚に同意したように答えた

「菖蒲ちゃんがせっかく作ってくれたのに、着ないのは・・」

かごめは少し気の毒そうに言った

「うん、可愛そうだよね」

「よし、今日だけだし!」

かごめは吹っ切れたように一言放った

「そうだね・・」

珊瑚も仕方なさそうに言った

その衣装には妖狼族特有の尻尾までついている・・・。

かごめ達人間には尻尾がないので菖蒲が付けたのだろうか・・

「え・・・」

尻尾に気付いたかごめは時が止まった

「な・・・」

珊瑚もこればかりは・・というような顔をしている。

「きょ、今日一日だし!」

かごめは口ではそう言っているがさっきよりも顔がゆがんでいた

 

その頃の弥勒幸―

「弥勒、どうじゃ?」

七宝はワクワクしながら衣装を弥勒に見せた

「似合いますよ、七宝」

七宝には最初から尻尾がついているため、そんなに違和感は感じられなかった

弥勒は全てを諦めたかのように衣装を着ると

「この服装にこの髪型は合いませんね・・・」

そう言うと、今まで下ろしたことのなかった髪を サッ とおろしたのだ

「さぁ、行きましょうか七宝」

「尻尾が・・・ププッ」

七宝は弥勒の尻尾をみ一人笑みを浮かべている・・・

とっても我慢している様子で顔を押さえて弥勒の後を歩く


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